山梨学院パブリシティセンター
 
山学高・内藤詩乃さん酒折連歌賞山梨県知事賞
〜山学高から上位5句内は一昨年の大賞に続き二人目〜
〜答えの片歌「罪悪と言われし戀をまだ知らぬ我」〜

去る2月1日に「第十九回酒折連歌賞」の各賞が発表され、上位5句の中の山梨県知事賞に山梨学院高校の内藤詩乃さん(特進コース3年)の句が選ばれた。酒折連歌は五七七の問い片歌に五七七の答えの片歌で返す俳句とも短歌とも異なる詩歌の形式。内藤さんは、選考委員の『百年を考えている夏目漱石』の問いの片歌に『罪悪と言われし戀をまだ知らぬ我』と答えの片歌を詠んで「ういういしい自己を肯定する自恃が若さを語っている」と評価され、応募総数30、973句の中から大賞の文部科学大臣賞に次ぐ山梨県知事賞を受賞した。今回のアクティブは、読書が大好きな内藤詩乃さんに酒折連歌の魅力や受賞した句に込めた思いなどを聞いた。



内藤詩乃さん(ないとう しの 山梨学院高校特進コース3年) 
笛吹市一宮町在住 祖母、両親、姉、本人の五人家族。

山梨県知事賞を受賞した内藤詩乃さんの答えの片歌に、6人の選考委員の一人、俳人の井上康明選考委員は「昨年、没後百年を迎えた夏目漱石が百年後の日本の行く末を考えていると問いの片歌は語りかけます。漱石の小説『こころ』の登場人物たちが悩み苦しみ、『罪悪』とまで言った『戀』を『私はまだ知らないのです』と、どんなに時代が変転しても、恋のとば口で足踏みし戸惑う少女である自身を語り、ういういしい自己を肯定する自恃が若さを語っている」と選評を寄せた。

酒折連歌賞は、わが国の連歌発祥の地とされている『酒折宮』にちなみ1998年(平成10年)、多くの人に連歌に興味・関心と創作意欲を持ってもらい、連歌を蘇えらせ普及させ、文学の振興、文化の創造を推進しようと、山梨学院大が母体になり創設された。「古事記」に登場する倭建命(日本武尊)と御火焼(かがり火役)の老人との問答が起源となった五・七・七の『問いの片歌』に対して『答えの片歌』五・七・七で返す問答形式の歌遊び。今回は30、973句の応募があり、その中から内藤さんの句は一般部門の大賞・文部科学大臣賞に続く山梨県知事賞に選ばれた。山梨学院高からの上位5句に選出されたのは、第十七回に大賞を受賞した今村光臣さん以来。

山梨学院中・高では1年生から連歌を総合学習に取り入れ毎年「酒折連歌賞」に応募をしている。高校から山梨学院高に進学した内藤詩乃さんは「昨年は百選に選ばれて驚いたんですが、今回2番目の賞と聞いてさらにびっくりしました。親戚や周りの人たちからたくさんのメールなどをいただきうれしかったです」と受賞したときの気持ちを話した。「2年生の授業で『こころ』を読んでいて、その中に出てくる『戀』の文字が恰好いいなと思っていたところ、今回、問いの片歌5句の課題の中に漱石があるのを見て最初にその『戀』の言葉を使ってみたくて思いつきました。自信はなかったですが5つの課題の中ではすらすらとできました」と創作の動機を話した。また、問いの『夏目漱石』と答えの『我』を対比したと言う。周りからの反応を聞くと「みんな『戀』という字が読めなくて自分の心境の気恥ずかしさが半減した」と屈託なく笑う。文学少女らしい語り口は、「家族が本を読むのが好きで、私も小さい頃からテレビよりもいろいろな本を読んでいました」と文学との付き合いは長い。連歌については、「問いの片歌を自由な発想で答えとして返し、俳句みたいに季語を入れるなどの制約が特にないところが面白いです」と魅力を語る。大学へは文系に進み、将来は父親と同じ教員を目指すという。

文(K.F) 2018.2.15

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