山梨学院パブリシティセンター
 

小菅ゼミ、「歌舞伎酒折座」旗揚げ公演に向け佳境
〜学生チャレンジ制度で日本文化を実践〜


法学部政治行政学科の小菅信子ゼミでは、学生チャレンジ制度を利用し、「日本の文化」をテーマとして近現代について実践研究している。この度、創立70周年に際して新たな山梨学院大学ブランドを創ること、地域社会への文化貢献と国際文化交流の促進を目指して、新プロジェクト「山梨学院歌舞伎・酒折座」の旗揚げ大公演会をすることになった。今回のアクティブでは、学生チャレンジ制度を活用して日本文化の歌舞伎・酒折座の立ち上げるまでに至った学生たちの活動のきっかけや経緯、苦労など裏方として奔走、運営を担ってきた制作部長の佐藤卓央さんと広報・デザイン部長早川丈さんの二人に歌舞伎公演の準備・本公演を通して何を伝えたいか公演前に聞いた。

江戸期の甲府の庶民の楽しみのひとつに芝居見物があり、当時の芝居見物といえば歌舞伎。甲斐の国は市川団十郎ゆかりの地ということもあり、甲府で上演される歌舞伎は大変な賑わいを見せたという。近世から近代にかけて、現在の甲府市若松町には「亀屋座」という芝居小屋があり、当時の市川団十郎、松本幸四郎、坂東三津五郎などが舞台を踏み、大変人気があった。しかし残念ながら現在は影も形もない。そこで甲府で栄えていた歌舞伎文化を、もう一度甲府の文化として定着させたいという思いから、昨年度春より、この新プロジェクトの準備に取り掛かった。小菅信子教授は花川流家元・花川蝶十郎六世の直門で歌舞伎舞踊師範、花川白蝶を襲名。学生たちは週に一度、歌舞伎舞踊の手ほどきを受け、稽古に励んでいる。花川流は、亀屋座に縁が深く、六世尾上梅幸、六代目・尾上菊五郎の芸風を受け継ぐ歌舞伎舞踊の流派。花川流御家元の若先生・梅朝先生には本学にいらしていただき直接、指導を受けた。学生たちは「制作」「広報」「役者」の三部門に分かれて日々、準備を進めている。

今回の旗揚げ公演のために裏方として奔走、運営を牽引するのが制作部長の佐藤卓央(さとうたかひろ 法学部政治行政学科3年 東京・八王子高)さんと広報・デザイン部長の早川丈さん(はやかわ じょう 法学部政治行政学科3年 山梨・笛吹高)さんの二人。佐藤卓央制作部長は「私たちの小菅ゼミは日本文化を研究実践するというゼミで日本文化に興味がある学生が集まっています。小菅教授が花川流の免許皆伝するということがきっかけで、私たち学生は、先生の企画を聞き、それを学生自身が、学生ならではの表現をしていこうと始まりました。ゼミには日本文化を学ぶということで皆来ているので乗り気ではない人もいたでしょうけど、反対はいなかった」と立ち上げのきっかけを話した。企画は2年の後期から持ち上がり、東京・御茶ノ水にある歌舞伎舞踊の花川流の稽古を希望するものが個人で受ける形で最初の顔合わせが行われた。3年になって学生チャレンジ制度に応募するため、4月に役者組と制作組に分かれ、制作組の中で制作や広報・デザインの役割分担が決められ本格的に動き出した。「制作の方はまず、チャレンジ制度でお金を貰わないとできませんので、主に企画を通す際に学生課の担当の方と1対1で話をして事情説明して予算はこれだけ必要ですと、企画提案していくということをメインにしました」と佐藤部長。一方、早川丈広報・デザイン部長は「初め、小菅ゼミが歌舞伎で学生が踊ることを知らなかったんです。ゼミに入ったときは日本文化を学ぶため茶道や華道の実践をしますというので、文化の比較をするゼミなのかという感じで入ったんです。まさかこんなことになるなんて思ってみなくて、入ってみたらビックリなんです。でも、とても良い機会になりました」と話した。「佐藤制作部長などと連携して行った広報活動で幼稚園や小学校、いろんなところへ掛け合うために一緒に出向いて説明をしたときなどに伝統の日本文化がより身近なものであることや、チラシやポスターの制作で、デザインを考えるときに、日本人よりも留学生たち、外国人のほうがわざわざ来て日本の文化を学ぼうとしているのに、日本人のほうが学んでいない。そのため、日本独特の文化だと分かるよう、デザインの方に組み込んでいく感じで表現しました」と広報の難しさを語った。

二人は、役者組と制作組の橋渡しをするプロデューサーという立場で、初めての公演を成功させるため奔走をしてきた。佐藤部長は「大変なのは人数が多いことと、役者と制作でやっていることが別なので、制作のことは理解できているが、役者が今どの程度のスキルなのか、どのようなことをやっているのか把握していくことが難しく、なかなか理解できないことが多々ありました」と苦労を明かした。早川部長は「ルールがあるんですよ。チラシをつくるにあたって。文字の形や幕のイメージを使う場合、色の順番が決められていたり、そういうことを知れたことも良い機会になったというのもあり、色々発見もありました。実際に小菅先生が踊る舞台を国立劇場に見に行って、見ることによって気が付くことがたくさんあって、雑誌とか新聞やインターネットはすぐ見られますけど、生で見ることがすごく大切であると感じました」と経験が活動のプラスになったことを話した。また、公演は、国際交流促進の役目も担っている。佐藤部長は「私たち2人は、2年生の時のゼミも一緒でそこで留学生とコミュニケーションを図り、山梨の魅力を伝えようとする企画もやってきて、国際交流センターの方との協力を得ています。旗揚げ公演では是非多くの留学生に来て、日本文化に触れて欲しい」と話した。

稽古は佳境に入った。今は週一度の小菅先生が振り付けで踊るゼミでの練習、また小菅先生と学生の空き時間が合ったときに行う練習、個人練習で本番に備える。ゼミでの稽古を見学した。演目、「藤娘」の歌舞伎舞踊を男子5人が練習していた。その一人赤尾俊さん(あかお しゅん 法学部法学科3年 山梨学院高)は「役者として、大変なこともたくさんあるんですが、日本の伝統的なものなので、そこは小菅先生の指導の下、皆で協力して自分たちらしく精一杯、基本はあるのですが、自分たちの個性を使って、自分らしく踊りたいと思っています。難しいところは、中盤の傘を結構動かすところが少し難しいというか、5人いるのでそこが皆が合う合わなかったりという部分があるので本番までに調整してやっていきたいと思います」と話した。「京鹿子娘道成寺」の手ほどきを受けていた渡辺樹理さん(わたなべ じゅり 法学部政治行政学科3年 山梨学院高)は「とても難しいです。手の動きや表情、足の運びなど細かいところがとても難しいです。昔はこのような芸能が盛んであったが、山梨県ではそういうものが失われていることを聞いて、自分たちが踊って、それを見てもらいも今から、もっと知られていけばいいなと思いました。練習ではぎこちなかったですけど、本番では柔らかく穏やかな表情で踊れたらいいなと思います」と意気込みを見せた。

最後にどのような旗揚げ公演にしたいか。佐藤部長は「とにかく身近に感じてもらいたい。プロの人がやるのを見るのは、もちろん刺激になると思うのですけど、私たち同じ学生の人間たちがこのようなことをやっているところで、少しでも歌舞伎というものが近いものに感じてもらえたらと考えています。私たちがスタートということで、土台作りをして行きたいと考えています。4年生になっても、就活との兼ね合いがあるのですが、できる限り関わりたいです」とやりがいを滲ませた。また、早川部長は「山梨学院の校歌の一節にあるんですが『甲斐の文化は世にかおる』。やはり甲斐の文化を世に薫らせたいというか、歴史は繋げていかないと次の世代に無くなってしまいます。だから日本舞踊とか歌舞伎って敷居が高いというイメージがあるんですが、それを学生とか幼稚園生とか、これからの人たちが日本の芸能を面白くて、簡単に取り組めると感じて欲しいですね。旗揚げ公演ですから次に繋げていかないと。小菅先生が生きているうちは」と笑った。

日本文化を研究するゼミから生まれた歌舞伎という日本の古典芸能の公演会。江戸時代には大衆演劇としてもてはやされた文化を今に伝え復活させようと奮闘する若者たちの活動に期待を寄せた。12月14日、「山梨学院歌舞伎酒折座」の旗揚げ公演が披露される。「一座、高うはござりますが、不弁舌なる口上をもって、申し上げたてまつります・・・今後とも学業、芸道に精進します。隅から隅まで、ずずずいーっと御願いたぁてまつります」と今から学生たちの口上が聞こえてくるようだ。

文(K.F) カメラ(平川大雪) 2016.12.2
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